結婚氷河期Walker

日本国を一つの会社として見た場合、2021年の今は、増員と事業拡大のイケイケの時期でしょうか?

それとも、人員削減や事業仕分けをしなければならない事業縮小の時期でしょうか?

20世紀の後半、戦後復興から高度経済成長期を経て、世界第2位の経済大国になるまでの間は、日本はイケイケでした。人口は、1945年の7199万人から、2004年の1億2784万人と、およそ2倍に増加しました。

人口が増えれば増えるほど、市場は拡大するわけですから、仕事は増えます。また、日本は、外国相手の商売がとても上手で、海外との貿易は基本的に黒字ですから、日本国内を巡るお金は増え続けていました。

あらゆる職種で人手不足でしたから、優秀な若者は、それこそ金の卵であり、また、優秀でなくても、なにかしらの職に就くことが出来ました。そして、せっかく育てた社員を囲い込むために、年功序列による昇給と終身雇用、ボーナスと退職金という給与形態、つまり、会社村に長くいれば長くいるほどお得になるシステムを構築します。また、会社という村社会の居心地を良くするための、村民特権である福利厚生と企業年金を充実させたり、果ては運動会、社内クラブ、忘年会など、行事も与え始めます。

サラリーマンにならずとも、勢いと馬力さえあれば、一念発起して事業を起こし、ある一定の成功者となることは、今よりもはるかに容易でした。なぜなら、仕事が増え続けるということは、お客さんが増え続けると同義だからです。

その結果、生産人口のほぼ全員が、サラリーマンか事業主か資産家になることができました。日本国民には、富が世界で類を見ないほど平等に分配され、一億総中流という人類が到達したことのない環境が出現します。

2004年の人口1億2784万人は、日本の人口のピークです。50年かけて爆発的に増えた人口は、50年かけて急落することが予想されます。

日本の総人口が下降し始める2004年が、結婚氷河期の本当のはじまりです。

結婚氷河期は、バブル崩壊後の日本に訪れた就職氷河期と密接に関係しています。日本は、東西冷戦の終わりとプラザ合意によって、西側陣営を潤すための経済エンジンとしての役割をはく奪されます。世界規模で安売りを仕掛ける中国等の新興国の台頭は、お金、仕事、人材、知的財産を、どんどん海外に流出させていきました。

1円でも安いものやサービスを日本中が望んだ結果、自分や家族の仕事が無くなってしまったんですね。でもそれは2021年の今だから言えることで、当時はまさかこんなことになるとは誰も思わないわけです。

仕事がなければ、結婚できません。でも、もう結婚して家族を養えるほどの質の良い仕事は国民全員分ありません。

今の日本は、もう全員が結婚できるわけではないのですね。

じゃあ、誰が結婚できるんですかというと、ほんの一握りの、氷河期を生き抜ける人間です。

それは、不況になろうがどうなろうが、生き残る会社、リストラされない社員、事業を継続できる事業主、資産を増やし続ける資産家が一定数いるのと同じことです。

経済力があり、優しくて、魅力ある一定数の人間が、結婚し子孫を残すことができます。

生涯未婚率数パーセントという異常な時代は、2004年を境に終わりました。

結婚氷河期という、結婚を強要されることのない静謐が、いま私たちが現在進行形で織りなしている時代です。

となると、結婚したいなら、次のどちらかではないでしょうか。

  • 経済力があり、優しく、魅力ある人間になる
  • 日本国を出て、高度経済成長中で、勢いのある国で結婚相手を見つける