【21世紀版】なぜ、結婚するのか

なぜ、結婚するのでしょうか。

21世紀の今を生きる、わたしたちが納得できる理由は、あるのでしょうか。

まずはじめに、なぜ、結婚しない人が増えてきたのか考えてみます。それは、前時代的な、結婚の動機付けが、まったく理解も共感もできなくなったからです。

  • 結婚して孫を見せることが義務だ。
  • 結婚してはじめて一人前だ。
  • 適齢期になったら結婚するものだ。
  • 未婚者が一家や一族にいることは恥だ。
  • 同僚や友達が結婚しているから結婚する。

20世紀の結婚する理由って、若い世代には、響かないんです。

なぜこんなに、世代間で話が通じないのか。それは、自己の生存の心配をすることなく、結婚について考えられるようになった第一世代が、わたしたちだからです。

20世紀って、特殊なんですね。前半の50年は戦争をしており、後半の50年は復興と経済成長をしていたんです。戦時中は、とにかく子をたくさん産み、兵士を増やすことが、国民の義務でした。国中が、文字通り必死ですから、なぜ、結婚するのかなどと、考える余裕はありません。

敗戦後の復興と経済成長には、世帯の増加が必要でした。なので、家父長制からなる大家族を核家族に切り分けて、内需を増やしたんです。所得倍増計画とは、要は内需倍増計画なんです。世帯が増えれば増えるほど、経済は回るんですね。

そして、人口の増加も内需倍増には必要です。なので、血縁、地縁、社縁、すべて総動員して、恋愛結婚できなかった人を、お見合いさせて結婚させたんです。そして、ほとんどすべての夫婦世帯が、少数の子を産み育てることができて、家を持ち、仕事と余暇の楽しみをもつこと。すなわち一億総中流となるよう、富を分配したんです。

21世紀の今は、戦争はありません。経済的にも、とても豊かになりました。わたしたちは、20世紀を生きたすべての人々のおかげで、なぜ、結婚するのかを考える余裕があります。

21世紀を生きるわたしたちは、なぜ、結婚するのでしょうか。

それは、結婚が、21世紀における、唯一無二のエンターテイメントだからです。

結婚は、世に存在するあらゆる娯楽を凌駕する、感情の揺さぶりを提供します。作り物では、絶対経験できないレベルの、喜怒哀楽が、そこにはあります。そして、起こることは、すべてリアルです。結婚から派生する喜び、悲しみ、虚無感、憎悪といったものは、比類なき体験です。

本当に死んだり、殺されたりする可能性すらあります。

なぜ、結婚するのか。

生きている個に、対となる安定を与えて、さらには直系、養子問わず、次世代を育む揺籃の地となるからです。結婚は、人類の繁栄に貢献します。ですので、結婚は、血縁や国籍すらも超越して、二人を結びつけます。これからは、性別すらも超越していくでしょう。

なぜ、結婚するのか。

結婚は、人類が辿り着いた、人間関係の極致だからです。二人が他人でないと成立しない、面白い特性を持っています。お互いを終身雇用し合い、死が二人を分かつまで、予測のできないエンターテイメントは続きます。

結婚は、極上の充足から地獄の出現まで、人間関係で、最もふり幅のある、エキサイティングな関係です。

結婚は、次の瞬間何が起こるかわからない、リアルな日々を提供します。それに加えて、最高峰の安定と繁栄をもたらす可能性すらあります。