婿取り娘の親ができること

娘さんは、あっという間に、歳をとります。

後継者の育っていない家は、勢いも生命力もなくしていきます。先が見えない日々は、視野を狭くさせ、考えることを放棄させます。家業の現状を維持していくことが、今できる精一杯だと、娘さんも親も信じ込んでしまいます。

親と娘の膠着状態は、10年、20年、30年と続いていってしまいます。最後にどうなるのか。50歳や60歳の独身の娘が、この世に取り残されるんです。

こんな結末は、誰も望んでいません。でも、人間は、問題に直面して、もうどうしようもなくなるまで、ピンとこないんです。そして、その日は、今日や明日じゃないですから、見て見ぬふりして、日々を送ってしまえるんですね。家業がある限り、とりあえず食べていけますし、家業に携わるすべての人々の生活も預かっているわけですから、それなりの充足感と使命感はあるんです。

婿取りに苦労している娘さんに、親さんができることって、なんでしょうか。

できること

家業をあきらめる覚悟があれば、娘さんの人生は救ってあげることが出来ます。

娘さんを婿取りから解放することです。娘さんは、家業と結婚がセットになっているから、うまくいかないと思い込んでいるんです。まず結婚だけに集中できる状態にしてあげてください。

娘さんに真剣に話をすることです。

「わたしたちの代で、家業をたたむか、継いでくれる人に譲渡する覚悟を決めたから、あなたは、もう婿を取らなくてもいい」

「あなたは、家を出て、ひとりでやってみなさい。結婚してもいいし、独身でもいい。でも、家業は、あなたを一生食べさせてくれないから、いまから、あなたが食べる手段を確立しなさい」

平たく言うと、婿を取ってこないなら、出ていけってことですね。

親が変わると、子も変るんですよ。親が健在な間に、子が自発的に変わることは、絶対ありません。なぜなら、子は、家にいるだけで食えているからです。それなりに家業を手伝っていれば、人生何とかなってきてしまったわけですから、そこから出ていくことはありえません。

これは、自分で体験してみないと分からないと思うんですが、覚悟を決めれば、先が見えるんです。親は、家業に対して、真剣に向き合えるようになりますし、子は、自分の人生に向き合えるようになります。

婿取りがうまくいかなければ、遅かれ早かれ、娘さんは一人で世の中に放り出されます。このまま時間だけ流れて、やがて親が衰えて死に、50代、60代になって、はじめて強制的に独りになるのか。今すぐに、強制的に独りになるのか。決定権は、親にあります。

どちらかが変われば、もう一方は強制的に変わるんです。

親が変われば、娘は強制的に変わります。

婿は取れないかもしれませんが、娘さんは独りで生きていけるようになります。

一人暮らしで、婿取りでもないなら、結婚できるかもしれません。

結婚して、子を授かれば、孫ができます。

ここまでくると、孫が家業を継いでくれる未来も、見えてきます。