仕事にやりがいを感じ、余暇は趣味に没頭し、気の合う友達がいる。
独身生活を謳歌している彼ら、彼女たちに、結婚を思い立つことは不可能です。なぜなら、結婚すると、彼らの楽しみのほとんどが、制限、または消失してしまうことを知っているからです。
まず、家庭の時間が人生に出現します。仕事と家庭の繰り返しは、基本的に一人の時間はありません。そして、趣味に使う余暇は、制限されます。もちろん趣味に使う予算も大幅に削られます。最後に、友人と遊べる時間は、相当制限されます。休日は、家庭や地域、お互いの親族の予定が優先されるからです。
20世紀の結婚は、お互いにメリットがありました。結婚することによって、お互いの生活の質が向上したのです。男性が現金収入を提供し、女性が衣食住の切り盛りを提供する。そして、子は宝で、家庭の繁栄の象徴でした。
21世紀では、家事の大半が、安価に買えるようになりました。また、一世帯の人数が減った結果、基本的に自分の家事だけすればよく、家事の絶対量が減った点も、大きな変化です。そして、有事の際の家事、すなわち子育てや看病や介護も、外部委託することが、当たり前に受け入れられる社会となりました。
その結果、男性は、家政婦や緊急事態の家事要員としての結婚相手を、必要としなくなりました。女性は、男性に従属することなく社会にありたいと願い、サラリーマンや経営者、個人事業主となりました。
仕事で成功していて、お金と余暇のある独身者にとって、結婚って、何のメリットもないんです。
独身者が独身のまま65歳以上になったとき、受け取る年金は、既婚者ががんばって育てた子供たちの納めた年金から支払われます。
次世代とは言わば、独身、既婚関係なく、老後の年金を、全員分負担してくれるありがたい存在なんです。
独身者から見て、結婚して子育てしている同僚や友人は、独身者の老後の食い扶持を確保してくれてる、奇特なボランティア集団です。
結婚することに、なんのメリットのない時代に、結婚し、手間も暇もお金もめちゃくちゃかかる子育てをしている人たちって、何も考えてないか、前世紀の常識に流されたか、考えたうえで尚、結婚を選んだ奇人変人たちなんですね。
21世紀は、娯楽が山ほどあり、好きなことし放題です。干渉してくる親や地域の力も廃れました。独身の人の方が、よっぽど世の中をよく見て、楽しんでいると思います。