8050問題を知っていますか?
8050問題は、引きこもりの最終段階です。引きこもりの子供が50代になり、支えていた親が80代になると、それまで危ういながらも、数十年続いてきた親子の共依存関係が、終わりを迎えます。
親の死や、病気、介護によって金銭的に破綻したり、積年の抑圧と鬱憤が、衰えた親に爆発したり、親が子を殺したりします。
引きこもりの子供が、親の収入や年金で暮らしているうちは、子の未来はありませんし、兄弟や親族にとっては悩みの種でしょうが、親子に何を言っても聞かないし、周囲の人間は、経過観察するしかないわけです。しかし、親が死んでしまっては、50代の社会経験なしの引きこもりを、兄弟親戚が自腹で引き取るか、生活保護を支給して、みんなの税金で面倒見なければなりません。
引きこもりは、なにも特別な問題ではありません。誰でも、周りを見渡せば、ひとりやふたり、引きこもりはいるはずです。引きこもりは、一族の恥さらしのお荷物として兄弟親戚から厄介者扱いをされ、親は子育ての失敗者として非難を受けます。
親子の共依存って、基本的に、その関係が破綻するまで、どちらも聞く耳はもてません。なので、兄弟や親族、友人といった周りの人間も、しまいには諦めてしまいます。腫れ物に触るように、放置し疎遠になり、親子は、ますます社会から孤立していきます。
親は、庇護するも愛情、突き放すも愛情と、苦悩します。衣食住の面倒をみて、お小遣いを与えて、一方で説教して、お互い無関心になるといった、不毛な共同生活は30年から40年くらい続きます。
それは、8050になって、はじめて終わります。
引きこもった結果、8050問題は発現し、50代の子供は、はじめて社会と直面するのです。
50代の引きこもりは、社会から30年以上セルフ隔離していた人間です。言わば、我が道を行く達人ですから、見てる世界から考え方まで、社会で仕事をして、家庭を築いてきた人間とはまったく違います。