匿名だから聞ける

ナデミタコは、婿取り相談を、出来る限り匿名で行っています。なぜなら、婿取婚を成し遂げるにあたって、本当に必要なアドバイスが出来る軍師足るには、当たり前の人間関係は、必ずしも重要ではないと考えているからです。

それどころか、当たり前の人間関係があることによって、人生を好転させるかもしれない決定的なアドバイスが、自分の所まで来なくなってしまうことさえあります。

ナデミタコが、婿入りしたのは、農家です。農家は、本家や分家といった、一族のつながりを、今でも大切にしています。ナデミタコの妻の家は、比較的新しい新宅で、ナデミタコで、5代目となります。義父が、農業経営に成功していたり、義祖父が、代議士をしていたりと、勢いのある家です。

ナデミタコが、婿入りする際に、本家のおじさんと、一族の家を15件ほど、挨拶して回ったのですが、一軒だけ、遠慮した家がありました。それは、大本家といって、一族でも一番古い宗家でした。

なぜ、遠慮したのか。それは、その家に、婿取り娘さんがいて、どうやら婿取りが出来そうにないから、挨拶に行くことで、機嫌を損ねるかもしれないから、遠慮しておこうとのことでした。

事なかれと自己の保身を優先する人間関係と、噂話の成れの果てみたいな、本家の娘さんの評価が、いまの現状に反映されているんです。

話によると、本家の娘さんは、10人並み以上の美人で、若いころは、とてもモテたそうです。お見合い話を持って行っても、お相手の見た目や学歴など、気に入らない点があれば、門前払いだったそうです。次第に、一族の人たちは、縁談があっても、本家の娘さんは、高望みだからと、縁談を持っていくのをやめてしまいます。

年月はあっという間に、過ぎます。

婿取り娘さんが、助けを求めたときに、応えられるようにしよう。ナデミタコがいまここにあるのは、そういった思いの芽生えからです。